添付文書の警告欄には、副作用の早期発見や重篤化の予防のために、定期的な検査の必要性について書かれていることがある。過去にはパナルジンのように2度も同様の内容で緊急安全性情報がでた例もある。
定期的な検査が必要な薬剤
投与量が少なすぎて大丈夫か、と考えんでしまわないようにいくつかあるパターンを整理しましょう。
少量でも投与する薬剤
非線形性の薬剤
通常は投与量を増やせば、比例して薬効は強く発現します。しかし、ある一定以上投与量を増やしていくと血中濃度が跳ね上がったり、あるいは頭打ちになる薬剤が知られています。
禁忌
「禁忌」と一言で言っても、「併用禁忌」や「疾患禁忌」があります。併用禁忌も「禁忌」と「原則禁忌」があります。「配合禁忌」もあります。併用禁忌の例としてはプログラフとK保持性利尿薬が挙げられます。臨床の場では禁忌薬が使用されることがあります。代表的な禁忌について理解し、処方背景について考察できるようにしましょう。
成人に対する常用量は1錠、1g、1A(vial)という感覚は、現場では通用しません。
20錠、あるいは8バイアルとかの投与量が処方さんに書かれていてビックリしてしまうことがあります。しかし、予め大量投与する薬剤と使用目的を知っておけば、落ち着いて調剤、監査が行えます。
1回2錠以上投与する薬剤、2アンプル(バイアル)以上投与する薬剤
薬剤の中には、処方医が制限される薬剤があります。その理由としては主に副作用(安全性)が挙げられます。これらの薬剤を調剤するときには、処方医の確認が必要であり、時に疑義照会の対象になります。@なぜ制限されるのか?危惧される副作用とは? A全国的に定められている遵守しなければならない制限なのか、あるいは院内の安全対策で定められている制限なのか?を知ることがポイントです。
処方医が制限される薬剤
内用でも外用でも使われる薬剤
急に服薬を止めてはいけない薬剤
薬剤の服薬を急にやめると、投与前よりも症状が悪化したり、新たな副作用がでることがあります。医師が処方した薬剤については、医師の指示がない限り中止することはさけるべきです。
通常は代謝されて薬効が落ちます。そのため、肝障害があるときは代謝されない薬物が体内に蓄積し作用が強く現れると考えるのが一般的です。
しかし、薬剤の中には代謝されて初めて薬効を発現する薬剤があります。これらの薬剤を肝代謝能が落ちている患者に投与すると、逆に薬効が弱くなります。
また、話は変わりますが代謝物が副作用の原因物質になっていることがあります。
以上のように、すべての薬剤の代謝を頭に記憶しておくことは必要ないのですが、代謝されて活性を持つ薬剤あるいは副作用の原因となる薬剤については、代謝経路と、代謝物と活性について知っておくことが、臨床薬理学的考察に役立ちます。
同種同効薬の併用について考える
作用機序の同じ薬剤(=同種同効薬)が併用されることが、臨床ではしばしばあります。科学的に根拠を持った説明ができることが少ないのですが、処方の背景を推測していきましょう。
代謝物が活性をもつ薬剤(プロドラック)
粉砕してはいけない薬剤
粉砕してはいけない理由と、代替案を用意して、疑義照会を行います。
適応外使用
成分が同じで、商品名が異なる薬剤をまとめてみました。
ペアで処方される薬剤
処方監査や患者への服薬指導に必要な、適応外使用される薬剤をまとめてみました。
食後投与ではない薬剤
意外な使われ方をする薬剤 (適応内使用)
兄弟関係にある薬剤
ペアで処方される薬剤には、
@レベトールのように単独では効果がなく、“必ず”他剤と併用する薬剤
A原則は他剤と併用するが、副作用などにより例外的に単剤で使用する薬剤
の2つがあります。
まずは、これらの薬剤が単剤で処方されていないか、確認するクセをつけましょう。
そして、@かAかを見極めるためには、併用する理由を知っておくことが必要です。必ずその理由とともに理解しておきましょう。
トランサミンの成分はトラネキサム酸ですが、止血薬ではなく、咽喉頭炎にしばしば処方されることを知っているでしょうか?のどの炎症を止めるために処方された薬を「異常な出血を止めるクスリです」と説明したら、患者さんは混乱してしまいます。このように、薬剤の投与目的を適切に理解することが必要です。
このように、ちょっと意外な使われ方を薬剤を集めてみました。すべて適応内使用の薬剤ばかりです。
成分が同じで商品名が異なる薬剤
食後に飲む薬がほとんどの中、記憶するのは食後投与ではない薬剤です。疑義照会の時に説明できるように、理由とともに理解し記憶しておきましょう。当院では、誤った用法の入力を防止するため、用法に注意すべき薬剤を選択すると同時に、用法がデフォルト入力されるようになっているので、医師が上書きしない限り、誤った用法で処方が出ることは少なくなりました。
検査のために使われる薬剤
副作用の予防・治療のために併用される薬剤
処方される薬剤が多ければ多いほど、処方内容を読み取ることが難しくなります。しかし、一つ一つの薬剤を主薬【疾患の治療のために使う薬剤】と、佐薬【主薬の副作用の予防・治療のために処方される薬剤】を関連付けて読めるようになると、処方内容が格段に読みやすくなります。この主薬と佐薬の組み合わせをまとめました。
ワンポイント17 「処方せんの読み方 >処方薬のグループ分けについて」 も合わせて読んでください。
1日1回飲めばいい薬剤がありますが、いつ飲んでも問題ないのか、あるいはいつ飲むのがいいのかを考えてみましょう。
1日1回飲む薬剤
数々の本にまとめられていることがありますが、このサイトで取り上げるのは頭に記憶しておかなければならないものを選んでいます。診療科と薬剤を見て、調剤・監査する時に必要な知識です。
漸増していく薬剤
相反する作用を持つ薬剤が併用されることがあります。その処方の背景を考察できるでしょうか?
規格により適応症が異なる薬剤・適応症により投与量が異なる薬剤
相反する作用を有する薬剤を併用する例